企業の中には確かに対前年比を基に販売目標を設定している経営者も存在していることは事実ではあるが、経営者は投下した資本との関係で必要最低限の目標を設定しているとすれば、むしろ、営業担当者の方がトップの意思決定に資する情報を事前に提供するのが本来の姿ではないだろうか。
そうした根拠ある情報を提供できなかった結果、必要な数値を提示したとも考えられるから、元々の意思決定サイクルに大きな欠陥があったと言わざるを得ない。つまり、中長期経営計画に基づいた利益計画がずさんであったため、当初から計画と実績の乖離が激しく、何時しか計画は達成されないものというのが社内の常識になってしまう。
コンサルティングの過程で、販売計画と実績の差異分析をしていますかと聞くと、大抵の企業ではやっていますと答える。中身を見せてもらうと、計画と実績が記帳されているペーパーが示される。しかし、それ以上でもそれ以下でもないのである。これが差異分析ですかと問い直すと、きまってけげんな顔をする。
私に言わせれば、これは分析とは呼ばないのである。計画と実績をただ並列しただけで、そうした差異が何故生じたのか、それをどのように改善して今後展開しようとしているのかが示されていなければ、ただの記録表に過ぎないのである。
それなりの教養を持った幹部社員が何故そうした日常業務に疑問を投げかけないのだろうか。こうした話になると、コンサルタントはモラールアップとか意識改革などという言葉をよく口にするようであるが、それでは答えになっていない。経営者が聞きたいのは、モラールアップや意識改革がどうしたら図れるのかという方法である。
確かに、目標は高めに設定されるのが通常であるから、これを達成するためには精神的な面でも充実していることは必須の条件ではあるが、全体の販売目標を各担当者に配分する段階で、「誰に、何を、何時、どんな方法で」といった大枠がイメージできる状態にあることを確認しておくことが前提条件である。
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