新商品の開発も含めて商品計画が出揃うと、メーカーの場合は販売先である卸売業者や小売店に対する販計画を立てることになる。新商品であるか既存製品であるかを問わず、標的とする最終市場は決定されているはずであるから、その市場に向けての販売促進政策も組み込まれた上で営業活動が展開されることになる。
しかし、現実には開発者が当初設定した商品(製品)コンセプトがエンドユーザーに正しく伝えられていることはまれであるため、市場展開の場面ではプッシュ戦略に依存していることが多く、メーカーとユーザーの間にはかなりの距離があり、販売担当者が力ずくで販売していると言った状況もしばしば見られる。
例えば、ある卸売業の場合、企業のトップから対前年比○○%増という販売目標を与えられ、支店長や営業所長は目標達成への秘策もないままに、これを自分の部署に持ち帰り、部下にほぼオウム返しに伝達している。部下たちは、上司の建前論を即座に見抜いてしまうため、目標達成に向けての意欲を燃やす様子など全くない。
それどころか、優秀なセールスマンほど年度末の報告書のデザイン(計画は達成できなかったことに対する言い分け)が脳裏をよぎり、大義名分が思い浮かぶと、計画が達成されたかのような錯覚に陥ってしまう。上司は上司でトップが示した目標など達成できるはずがないという自己成就的予言により自分の行動を規制してしまう。
当社に限ってそんなことはありえないと言い切れれば幸いであるが、それなら計画目標を達成していますかと問いかけられたらどのように答えるであろうか。経営者にとっては、理由はともかく達成できなかったという事実からすれば、その理由が外的要因によるものであれ、単なる言い訳であれそれほど問題ではないのである。
そんな無茶な話はないと立腹するむきもあろうが、それなら何故トップから目標を示された時点で反論するなり、達成に対する見通しについて論理的に説明しなかったのかという疑問にも答える責任がある。つまり、達成できないことを確信していながら、心を偽って「頑張って達成します」と答える方がよほど無茶ではないだろうか。
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