目標管理のかんどころ

全社目標が部門目標を経て最終的に個人目標として設定されると、各メンバーは当然自己の目標達成のために奔走することになるが、この場合、自己目標の影に隠れてしまった重要な経営目標、例えば販売目標を掲げたことで疎かになりがちな代金回収などがそれであるが、これらは自己の目標を設定する場合には不可分な要素である。
 労務管理でいう「目標による管理」では、従業員が自主的に目標を決めこれを自己管理することが制度の根幹となっており、職務充実による自己実現を目指す場合は確かに有効な手段であるが、こと利益管理に関しては少なからずギャップがあるように思われる。このような矛盾を解決するにはどのように考えるべきなのだろうか。
 利益管理においても自主的に管理することで、自己実現意欲を刺激することは望ましいことではあるが、全体の目標から乖離した個人の目標を重視するのでは、企業経営が成り立たないのは自明の理である。ここに矛盾を感じるとすれば、それこそが矛盾なのである。本来、目標による管理は利益計画達成のためにこそ有効なシステムなのである。
 労務管理の目的は、「労働意欲の充足」、「協働体制の確保」、「労働力の効率的利用」であると以前述べたが、まさにその原則どおりである。企業の目指している方向と個人の目的が矛盾しているのでは、協働システムとして稼動することは不可能であり、企業活動により新たな付加価値を生み出す原動力にはなりえない。
 したがって、ここでいう目標による管理は、利益計画達成のためのシステムとして位置づけなければならない。つまり、目標による管理の原則である自己目標の設定は、全社目標、部門目標の内数であることは当然なので、目標達成の手段を与えられた選択肢の中から選び、自己の裁量により付加価値をつけることと捉えなければならない。
 このように考えれば、個人目標を設定することにより、失われたり疎かにされたりする全社目標があってはならないわけであるから、部門目標を個人に配布する際には、十分にコミュニケーションをとり、その目標達成のためにメンバーがどのように行動すべきかについて、練り上げることが管理者の重要な役割である。