得意先や金融機関など外部との人間関係は良好に保たれていますか

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得意先や金融機関との関係は良好であるに越しことはない。しかし、それは企業経営の理念を押し殺して、ただ相手に迎合するだけの付き合いを意味するものではない。人の考え方や人生観は様々であり、個性をストレートにぶつけ合えば、人間関係を良好に保てるほうがむしろ不思議なくらいである。
 したがって、ここでいう人間関係とは、理性に裏打ちされた価値観の共有部分の関係である。言い換えれば、組織間の経営理念が一致している(または近い)ことが前提であり、担当者同士が意気投合していることとは本質的に異なる。したがって、良好な人間関係を保つということは、価値の交換が円滑に行われている事を意味するものである。
 売買契約の締結や融資の決定なども、価値の交換がベースであり、そうした意味ではマーケティング戦略の適正性の問題といっても過言ではない。すなわち、自社の経営資源を有効に活用し、経営目標を達成するために得意先や金融機関などに対して、企業のアイディンティを正確に伝えることが先決である。
 相手方のキャパシティの問題もあり、現実の問題として当事者同士の相性もないがしろにできないことは確かだが、そうした問題を乗り越えるためにも企業のアイディンティを明確にすることは必要である。というより、むしろこちらの対応を明確に示すことにより、相手は、これを拒絶する大儀名文を失ってしまう。
 例えば、組織同士の理念が一致し、お互いの経営目標を達成するのに不可欠な協力関係が、相手の対応により踏みにじられてしまう虞があるといった場合、組織としての意思決定に基づいた対応であることを強烈に印象づけ、これを恣意的にねじ曲げることで担当者の職責がまっとうできないくらいの迫り方をする。
 もちろん、この対応は緊急避難的なもので、相手の心象を害することが目的ではないから、その点の配慮は必要であるが、相性の悪さから職権を乱用することは役所仕事などにはよくあることなので、真っ向から戦いを挑むことができない場合などには有効な手段である。良好な人間関係を築くにはまず自己主張をして自分を売り込むことである。