従業員を信頼し、高い目標を持たせ、やる気を引き出す人事戦略を展開していますか

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これまで何度となく話題にしてきた目標による管理制度は、ノルマとは異なりメンバーが自主的に設定し、自己管理することが制度の骨子であった。高い目標を持たせるということは必ずしもノルマを意味するものではないが、さりとて楽々達成できる目標のみを全員で掲げたのでは、企業の全体目標は到底達成できない。
 自分のポジションに相応しい目標を自主的に設定させ、やる気を引き出すことがポイントである。それには従業員との間に信頼関係がなければならないが、こうした土壌は一朝一夕に構築できるものではないから、長期的な人事戦略の中に組み込まれた処遇面や昇進制度などと同時並行的に育てていかなければならない。
 企業の経営戦略を遂行するために必要な人材を確保し、その効率的活用をはかると同時に、企業の要請と従業員の個人目的の適合かをはかる人事戦略が展開されなければならない。その内容は、組織の計画、企業が将来必要とする人的資源の質量を予測し、これを監査する分析手法の確立、新規採用計画および教育・訓練計画などである。
 また、この人事戦略は、次のような人事管理原則に則って遂行されなければならない。第一に、従業員は生産のために投入されるが、同時に人間個人としての欲求、期待、目標をもっており、雇用の安定、良好な職場環境、仕事への生き甲斐、達成感、責任感など自己実現意欲求を持っていることを前提としていること。
 第二に、公平な評価、公正な処遇など人事の透明性を確立しなければならない。第三に、給与制度は従来の年功序列型の給与制度ではなく、成果主義的給与制度に改定することである。第四に、経営情報を従業員に対して積極的に公開し、経営目標達成のための改善案を提言させるシステムにすることである。
 最後に、従業員の全人格を尊重し、問題解決能力をもった存在であることを認め、意思決定過程から従業員を参加させる。これらは、以前に述べたリッカートの組織原則論そのものであるが、マズローの欲求5段階説やハーズバーグの動機づけ衛生論、マクレガーのX論・Y理論などが融合されている考え方である。