プラス思考の発想で戦略的な意思決定をしていますか

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プラス思考の発想とは、楽観主義的なものの考え方とか猪突猛進型の発想ということではなく、経営が窮地にあるときでも積極的に可能性を見つけ出し、果敢に取り組む姿勢を評するものであると考えられる。つまり、現状を打開するために挑戦的な発想をするのがプラス思考で、これでは何もできないと逃げ腰になるのがマイナス思考である。
 例えば、わが社の製品は価格が高いうえ品質も他社製品に劣る、だから売れるはずがないという考え方はマイナス思考の発想であり、どこをどう改善すれば競争力が向上するのかと考えるのがプラス思考の発想である。したがって、プラス思考の発想がなければ、戦略的意思決定はできないといっても過言ではない。
 プラス思考の経営者が陣頭指揮している企業は、社長に直接会わなくても積極的な雰囲気が社内にみなぎっている。しかし、そうした企業とは評しがたい場合でも、経営者自身はプラス思考であると自認している。こうしてみると、プラス思考の発想は戦略的意思決定には不可欠だが、結果を保証するというものではなさそうだ。
 人生万事塞翁が馬ということわざ通り、積極策が裏目に出ることはスポーツなどでもよくあることだが、だからといって、いつも評論家的で何も行動を起こさないというのでは、評論する資格さえない。要は戦略の妥当性の問題であり、戦略的な意思決定にはプラス思考で臨むしかないことが明らかである。
 母親が子供を叱るとき、「勉強しないと大学に入れないよ」などという言い方をする。これは、「勉強をすれば大学に入れるよ」というのと同じ内容である。しかし、これを受け取る子供にしてみれば、プラス思考に受け取れるか、やっぱり自分はだめなんだと落ち込むかは、親の真意がどのように伝わるかによって決まる。
 つまり、プラス思考は積極的であれば足りるわけではなく、その思考に基づいて意思決定された戦略が、これを実施するメンバーに対してどのような動機づけをするかによって戦略の値打ちが決まる。組織の現状によってリーダーシップの発揮の仕方が異なるという、状況論的リーダーシップにも一脈通じるものがある。