付加価値生産性を向上させ、労働分配率とのバランスを保つ経営方針を立てています か

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付加価値生産性とは従業員一人当たり付加価値のことで、従業員一人当たり有形固定資産(有形固定資産÷従業員数)と設備効率(付加価値÷有形固定資産)との相乗積で表される。したがって、従業員一人当たり有形固定資産が大きくて付加価値生産性が高い場合は、設備効率が相対的に低くなる傾向がある。
 一方、設備効率が高くて付加価値生産性が高い場合は、どちらかというと労働集約的で、有形固定資産を効率的に活用していることが窺われる。もちろん、装置産業型の製造業か流通業かによっても異なるし、企業の財務状況によっても異なるだけに、経営資源の配分次第では付加価値生産性を高める方策は多様なものがある。
 ここでは付加価値生産性を労働の投入量という側面から評価し、人材の活用と処遇面の均衡を模索することが課題である。つまり、雇用の原点である誘引と貢献のバランスが保たれていることが、結果的に付加価値生産性を高める方策として最良のものであるという前提に立ち、その均衡点を見つけ出すことが狙いである。
 付加価値生産性は上記のように、金額で表示されるが労働分配率や売上高対人件費比率はパーセンテージで表示されるため、これらの相関関係をグラフなどでビジュアルに捉えるのは難しいが、これらを基準化(標準偏差/平均)して見ると、労働分配率と売上高対人件費比率は、多少のバラツキはあるものの、ほぼパラレルに変動している。
 しかし、付加価値生産性との関係は全く逆であるが、均衡を模索しているような変動が見られる。もちろんミクロにみれば、企業によって千差万別ではあるが、付加価値生産性が安定している時期には両者の乖離幅は小さいのに、一度付加価値生産性が向上するとたちまち乖離幅は拡大する傾向にある。
 これらの変動は何を意味しているのだろうか。これは確実に誘引と貢献のバランスを求めて、経営側と従業員側が綱引きしている姿そのものである。つまり、団体交渉などによらなくても、労働分配率の背後にある従業員一人当たり人件費を巡り、お互いに主張しあっていることを物語っているのである。