自己資本比率を高めるには、収益力を高め利益を蓄積することでその達成を目指すのがオーソドックスなやり方である。これが可能であれば、逆に自己資本比率を高めるという強い意識がなくても、借入金その他の負債が利益を原資として償還されるので、必然的に自己資本比率は高められることになる。
しかし、多くの企業が苦戦を強いられているように、負債の利益償還は容易ではなく、下手をすると長期借入金を償還するために短期借入金を増加させているケースもある。そうした場合は、売掛金の回収の促進、棚卸資産の縮小などにより総資産の圧縮を図ることである。そうすることで相対的に自己資本比率を押し上げる。
このように自己資本比率を高める方策は、分子の自己資本を収益力の強化などによって高める方法と、財務構成をスリムすることで分母の総資本を圧縮する方法があるが、いずれの方法も限界があり、具体的に目標を設定して計画的に達成を目指すのでなければ、結果的に達成されるという可能性は薄いと考えるべきである。
財務構成をスリムにする方策は、確かに総資本を圧縮するという意味においては有効なやり方だが、必要以上に棚卸資産を圧縮すると販売の機会を逸してしまい、大事な償還原資である利益が縮小してしまう虞がある。自己資本比率を高めることの目的をしっかりと見つめ直し、投資効果の極大化を目指さなければならない。
いずれにしても、財務の健全性は投資効果と利益の絶対額の獲得の両面から評価すべきであり、投資効果に見合う収益力があっても、過去の負債が重くのしかかっている場合などは、長期借入金を更に長期に組み替えるなど検討しなければならないが、このタイミング逸してしまうと、デフォルトにいたってしまうので早めに決断しなければならない。
この決断の時期を誤ると、自己破産や内整理など残された選択肢は限られたものになり、M&Aを志向したとしても、この時期になると著しく企業価値が劣化してしまい、断念せざるを得ないことが多い。自己資本比率は一応の目安に過ぎないので、これに固執することなく収益力との相関関係を睨みながら自己資本の充実を図るべきである。
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