目標による管理制度を導入した場合は、社員個人が目標を設定するとき上司と面談して決定する仕組みになっているため、上司のアドバイスはルールの中に組み込まれているが、そうした制度が導入されていない場合は、半ば上司(幹部社員)の温情として捉えられているようにも見受けられる。
つまり、目標達成に関してよくアドバイスしくれる上司は温情味があり、そうでない上司は普通の上司であると部下が思い込んでいるという場合である。こうした組織下では、管理者の裁量に任せられている形になっているため、自らリーダーシップを発揮できる管理者に変容しようとしない限り、部下も目標達成への意欲がわかないのが道理である。
管理者にはいろいろなタイプがあり、仕事と人間の2つの側面から分類すると、目標・方針を示さない管理者、示してもアイマイな管理者、部下の仕事の細部にいたるまで支配しようとする管理者、部下が失敗しても何等アクションを起こさない管理者、権限を大幅に委譲する管理者、委譲しない管理者、などのようになる。
人間の信念や心情は一朝一夕に変わるものではないが、だからといって、そのために部下のやる気を削ぎ、結果として企業の目標が達せられないという事態になれば、株主などのステークホルダーは、企業に対して高いエージェントコスト負担していることになり、経営の目的に反することになる。
ある企業で人事考課制度を整備したときのことであるが、目標設定について上司と面談して決定すること、人事考課は実施時期に集中して行うのではなく、中間でヒアリングを行い、進捗状況を確かめることなどを提案したが、幹部社員からは、そうしたことに時間を費やすと自分本来の仕事ができないという理由で猛反発を受けた。
しかし、管理者の本来の仕事とは、他人(部下)を使って成果をあげることであり、自らプレーヤーとして活動することではない。したがって、「自分本来の仕事ができない」ということは、「自分本来の仕事をしていない」ということにならないかと切り替えしたのである。むしろ、対人能力(ヒューマンスキル)を発揮することこそ必要なのである。
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