顧客ニーズにマッチした品揃えをするためには、市場分析・顧客分析に加え顧客の潜在ニーズまで把握することから始めなければならない。この分析手法については商品力の強化策の説明の中で述べたとおりであるが、付加価値の高い商品ミックスについては若干説明を付け加えなければならない。
付加価値が高いということは、顧客の側から見た使用価値が、供給側が提示した交換価値(価格)を上回っていることを意味している。これは商品のライフサイクルでいえば、成熟期にある商品ということになるから、自社が市場に提供している商品ラインに沿ってアイテムを充実させれば、これ以上のミックス計画はないことになる。
しかし、こうした品揃えをしても顧客から支持が得られず、全体として売上げが低迷する場合がある。その原因は付加サービスが不適切である場合など様々であるが、なかでも関連商品の品揃えが不十分であることも大きな原因となり得る。具体的には、衰退期にあることを理由に関連商品をラインからはずしたことによるものである。
つまり、付加価値の高い商品だけを品揃えしても、顧客ニーズにマッチするとは限らないのである。流通業であれば、商品選定計画は仕入部門が担当するが、当然販売部門から提示された顧客情報を睨みながら商品選定をするわけであるから、販売部門は単に売れ筋であることを伝えるのではなく、顧客のベネフィットも把握して伝えなければならない。
繰り返しになるが、品揃え計画は顧客が持っているニーズの束に訴求するのであって、自社の収益力を最大にする品揃えに顧客を誘導することではない。もちろん、これらのベストな取り合わせをデザインするのが、いわゆる市場目標と財務目標の調整の問題であるから、何らかのプル戦略ないしプッシュ戦略は必要ではある。
いずれにしても、売りたいものと買いたいものが完全に一致するということは現実にはありえないが、だからといって成り行きに任せるという理屈にはならない。財務目標が達成されないということは、もとより顧客に責任があるわけではないので、市場目標の設定と価値の提案の間に齟齬があったと疑ってみる謙虚さが必要である。
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