販売予測を参考にして次年度の予算編成が行われるが、基礎予算である販売予算が売上げの不振などにより達成が困難な状況に陥ったとき、計画値と実績との差異を分析することで、対応策を検討することになる。その際、原油価格の高騰や為替レートの変動など自社の統制力が及ばない事業に備えて、あらかじめ代替策を用意しておく必要がある。
しかし、現実にはこの代替案を実行するために必要となるかも知れない予算づけまで行われることは稀のようである。特に中小企業の場合は、急激な変化を経営計画の中に織り込んでいないことが多く機敏な対応は期待しにくいが、通常予想される変化にも何等の反応もしないのでは、経営資源を浪費しているといわざるを得ない。
ある中堅商社の営業マンの話である。年度当初に販売計画が示され自分に目標が与えられると、どのようにして計画目標を達成させるかを考えるより、どのような理由で達成できなかったかを年度末に説明する方法(言い訳)を先に考えるというのである。冗談であることを祈りたい気持ちでいっぱいである。
年度予算を達成できなければ確実に経営は疲弊に向かい、その結果経常損失が生じれば、経営者ばかりではなく従業員にも何らかの形で負の配当がのしかかってくる。業務監査を行うことの目的は、このように腐敗した空気を一掃して、目標達成のために全社一丸となって取り組む土壌をつくりあげることにある。
現在はある程度の業績を残しており財務基盤が安定している企業でも、従業員一人当たりの付加価値でみると必ずしも高くはない場合もあるので、生産性を向上させることは中小企業にとって大きな課題の一つである。こうした構造から早急に脱却するためにも、計画と実績の差異分析を基に、是正措置を講じる習慣を定着させなければならない。
そうした意味では、代替案というよりは計画と実績の差異を的確に把握し、目標達成のために何ができるかという思考様式を確立しておくなど、動機づけ要因を刺激する方策を講ずることの方が先決であるかもしれない。
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