得意先の消費需要を把握していたとしても、取扱商品を全て自社で購入しているとは限らないし、仮に購入していたとしても将来も同一の購買行動が継続されるとは限らない。例えば、家電製品や機械工具などは、大型量販店やホームセンターなどの業態店の出現により、自社の得意先にとっては選択肢としての購入場所は拡大したことになる。
こうした場合、供給側は長年の取引先である得意先は、決して浮気をしないと信じていたとしても、得意先にしてみればこれまでの不便さが一気に解消できると感じていたとすれば、新たな購買行動を押さえ込むことは困難であるが、さりとて、何ら対策を講じないでこれまでの売上げを譲り渡すもの芸がない。
現象面から見れば、大型量販店等の出現が端緒となって購買行動に変化が生じたと見るべきかもしれないが、得意先のそうした潜在的ニーズを把握していれば、ベンダー機能をより充実させることで、求心力を維持する可能性があったかもしれないと考えれば、大型量販店等の出現イコール得意先の喪失という構図には必ずしもならない。
つまり、購買行動を把握するということは、行動する動機を事前に把握するにたる観察あるいはコミュニケーションが大事だということである。したがって、通常の業務を通じて得意先の情報を把握できる位置にあったにもかかわらず、相手の信号を見過ごしていたという反省があったかどうかである。
ましてや、得意先の購買行動は量販店等に限ったわけではなく、インターネット・オクションなどの出現により自社での制御が及ばない事態も想定しなければならないとすれば、得意先の潜在ニーズを事前に把握しておくことは、既存の供給側にとってはまさに命綱であると位置づけなければならない。
企業によっては、得意先の潜在ニーズを把握したとしても、日進月歩で進化する多様な購買チャネルを防衛しきれないので、これを受け入れざるを得ないと諦める傾向もあると思われるが、得意先としても業種や業態によってトータルな利便性を軸にした購買行動であるはずなので、お互いの存在感は認め合える可能性は高いと考えられる。
コメント