消費者のマインドも環境変化によって大きく変化するので、大局的な意味では自然環境や世界情勢の変化、技術革新などが消費者の価値観の変化に影響を与えることは確かである。そうした意味では消費者の価値観に直接着目するよりも、消費者を取り巻く環境変化をリサーチする方が合理的であるかもしれない。
しかし、現代企業としてはCSRを明確に意識して経営に当たらなければならないから、外部環境の変化が消費者のマインドにどのように影響を与え、その結果が現実にどのような現象として現れたかを、企業の価値観と対応させて捉えておくことは、製品開発上からも最低限必要な情報収集活動である。
オイルショック時にはトイレット・ペーパーを求めて奔走していた消費者は、その後マスマーケティングに対して覚めた目で見るようになり、単に消費を貪る消費者ではなく生活者としての主張をし始めたものの、パソコン、携帯電話、インターネットと技術革新が次々に投入されると、再び供給側に主導権を譲り渡してしまったようにも見える。
このように目まぐるしく変化する環境の中にあっても、着実に生活者の自己主張は脈々と成長していることは見過ごしにできない。例えば、消費性向の変化を見ると、1世帯当たりの可処分所得はそれほど変動がないのに、消費支出の構成内容は携帯電話などの通信関連の支出が大幅に伸びている一方で、食料品の支出は横ばいないし減少傾向にある。
しかも、あらゆる製品のライフサイクルは年々短絡化し、新しい商品が次々に登場している。このように激変している環境の中にあっても、過大な設備にしがみつき消費者の存在しない製品を造り続けている。こうした企業は、「安くてイイモノ」を造ることが消費者の心を掴む一番の方策だと固く信じている。
消費者は自分らしさを探しながら生活提案型の商品を求めているのに、供給側は相変わらずかつての階層型の消費パターンを想定して販売促進に励んでいる。このミスマッチを解消するために消費者の方から歩み寄ってくる可能性は殆どないことを認識し、深層心理の解明を目指す眼力を養わなければならない。
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