ここで取り上げるゲーム理論は、「囚人のジレンマ」である。価格競争を避けたいと願っている競争業者のうちの一社が、疑心暗鬼に誘惑されて値引き販売を強行したとする。このような場合、値引き販売は絶対にしないという強気な姿勢を崩さなかった業者も、安売りの影響で実際に売上げが減少すると、心ならずも値引き販売に突入してしまう。
はたせるかな、市場は値引き合戦に陥ってしまい収拾がつかなくなってしまうなどということはよくあることだ。これがいわゆる「囚人のジレンマ(お互いに黙秘することが有利であるはずの囚人同士が、自分だけ割を食うのを恐れ結局全員が自供してしまう)」であるが、本来値引き競争を好まない業者はどう対処したらよいのだろうか。
こうした場合、「囚人のジレンマ」を逆に活用して、強力で明確なメッセージを市場に対して発信することで活路を開くというのはどうだろうか。例えば、製品開発の段階で、「似て非なるモノ」を市場に送り込み、市場の細分化戦略に移行したことを市場にも値引き販売業者にも知らせるのである。
一方が優柔不断な態度をとっていると、他方も対処方法が見つからないので、取り敢えず優柔不断な態度で応戦することにならざるを得ないから、ますます疑心暗鬼が募ることになる。こうした場合は、一方が意を決して態度を明確に示すと、他方はこれを容認しているわけではなくても別の対応を選択する。
この場合でいうと、一方が市場細分化戦略に移行したことで、残った市場(元の市場)には値引き販売業者しか残っていないことを確認すれば、敢えて出血サービスまでして値引き販売を続ける意味は無くなるし、価格競争の愚かさをいやというほど味わったことで、この学習効果は今後に生かされることになる。
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