揺らぎのない経営理念こそ最大の経営資源である

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イソップ物語だったと思うが、カワウソがどこに行っても嫌われると嘆いていると、それは鳴き声を変えなければだめと諭された場面があった。時節がら既存の事業がジリ貧になり、業種・業態を転換したいという相談も結構多いが、大抵は「鳴き声」をかえる必要があるとアドバイスしたくなるケースが多い。
 一例をあげると、米穀店を営んでいるAさんは、米の消費が落ち込んでしまいこのままでは、店の経営が立ち行かなくなるので業種転換したいというのである。そこで私はどういう業種を考えていますか、そしてその業種を選んだ理由は何ですか、と質問したところ、返ってきた答えは、飲食店などの厨房を閉店後に清掃する新兵器を入手したので、これを活用して営業したいというものであった。
 問答はその後も延々と続いたが、私の出したアドバイスはAさんには不満足のようであった。それというのも、その業態で経営が成り立つ根拠は全く見つからなかったからである。つまり、Aさんの話では、米穀店という業種は世の中から消える運命にあることを前提にしている。
 業種転換を考えるという動機が、まるで消費者の心変わりにあり、自分の経営力の至らなさには全く言及していない。このままの状態で業種転換したとすれば、転換先でも手痛い目にあうことは必至だ。何故ならば、そこには強力なライバル存在し、経営理念の薄弱な経営者はたちまち跳ね返されるからである。
 業種転換を強いられることはありえない事ではないが、現在の事業が何故継続できなくなったのかを詳細に分析し、その結果を踏まえた上でなければ、新たな戦略は構築できないはずであるが、事業の根幹を成す経営理念が定まっていないため、現在の事業をどのように評価したらよいのかが皆目検討がつかない。そのため、相談するというよりは、単に業種転換に賛同してもらい背中を押してもらいたいだけなのである。