経営資源が脆弱な中小企業が経営資源を無駄づかいしている

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いま多くの企業は、あふれる情報に翻ろうされ、「わが社らしい経営のあり方」を見失っているように思われる。こうした企業の多くは、自社の業績の悪化を景気の低迷のみをもって説明する傾向が強く、経営努力のおよぶ余地は殆どないという認識をもっている特徴があるように思われる。
 従来の枠組みからすると、このようなマインドの冷え込みはやむ得ない面はあるかもしれないが、資本の投下が先行している以上、経営責任は景気の低迷によって何等軽減されるものではないことも事実である。ましてやオーナー経営である中小企業の場合は、経営者は無限の責任が問われることになるから、資本の回収は全て自己の責任において行わなければならない。
 もちろん、中小企業の経営者は、元来企業家精神が旺盛でありこれまでも幾多の困難を乗り越えてきた実績もあり、そのチャレンジ精神は衰えたとは考えにくいが、熱い思いを全力で投入できる存立基盤が見つけられない現状においては、祈るような思いで旧来の市場と製品を死守するしかないと考えていることも事実である。
 しかし、こうした企業の対応は所詮言い訳に過ぎない。私が長年に亘り診断した企業のうち、業績が悪化している企業(倒産寸前の企業を除く)は、自己資本はもとより経営資本が過少であるため資本の回転率(資本効率)は高いが、その割合に流動資産の回転率が低く、しかも受取勘定回転率{売上高÷(売掛金+受取手形)}は高く、支払勘定回転率{仕入高÷(買掛金+支払手形)}が低いという共通した特徴がある。
 つまり、全体としては自己資本を含む経営資本が不足しているから、絶対額としての設備資産は小さいが資本構成上から見れば過剰になり、流動比率は低く慢性的な運転資金不足に陥っているが、一方でデッドストックや不良債権を抱え流動資産の動きを著しく制約しているという構図である。