ある製造業の再建に関わったときのことである。再建計画について債権者から一応認知を受け、実際に事業展開しようとしたが、以前のように販売ができないとのことで相談を求めてきたものであるが、まず、現在の状況を把握するため経営者に次のような質問をした。
まず、「当社の売り物は何ですか」と問うたところ、経営者はけげんな顔をして、「○○に決まっていますよ」と当社の製品名を口にした。そこで私は、それがどうして売り物になるのですか、と問い直すとますます不機嫌になり、「この商品を創業以来製造してよく売れてきたと」というのである。
ここではそれ以上突っ込むのはやめにしたが、「その自慢の商品が売れなくなったから私に相談しているのではありませんか」と私は言いたかったのである。つまり、経営者は以前のように売れなくなったのは、ハード面の品質とは関係ない理由であると思い込んでいることに問題があるのである。
もちろん、リスケジュールを行ったことによる企業イメージの低下も手伝っていることは確かだが、一般消費者からみれば価格が同じであれば、品質を重視するというのがセオリーである以上、売れ行きが悪くなったということは、品質にもかなりの原因があるに違いないと疑ってみるのが常識というものである。
特にこの商品はスーパーマーケットで販売されている生鮮4品のうちの1つであるから、消費者から敬遠された理由はそれほど複雑なものではないはずだ。ここでいう売り物とは、差別的優位性のことをよどみなく説明できるくらいの「個性」のことで、これを支持する消費者像もイメージできているかどうかで販売力が決まる。
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