競争市場の状態を掌握することで顧客満足を演出

昔から戦いの極意は戦場の状態、敵の兵力、見方の兵力をよく知ることだといわれている。この言葉は現代の商店経営にも十分通用する普遍的な響きを持っているような気がする。すなわち、戦場の状態は市場競争の状態、敵の兵力、見方の兵力は両者の店舗力、商品力、販売力などと置き換えられる。
 経営者はこれらを正確に把握できれば、適正な戦い方ができるというわけである。ところが、現実には自社(自店)の戦場、つまり競争市場さえ掴みきれていない場合も多く見受けられる。その証拠をある中小都市で行った商店街の来街者調査を用いて示そう。
 調査結果を、主成分分析により知覚マップにプロットしたところ、主成分1は「品質・価格の適正度の大小」を、主成分2は「利便性の大小」をそれぞれ表していることが判明した。ここでの観測では、「ほとんど毎日(女)」グループはアクセスの容易性は認めているものの、品質・価格以外にはほとんど関心を示していない。
 「月1?2回(女)」グループは品質・価格・品揃えなどの利便性を重視している。また、「ほとんど毎日(男)」を中心としたグループは利便性には多少の偏りはあるものの、品質価格にはほとんど無頓着である。
 つまり、同じ商店街にありながら、顧客から求められている基本機能はそれぞれ別のものなのである。この商店街に限らず、多くの中小店経営者は、こうした変化に目を向けることなく、常に大型店の被害者であることに疑いを持たず、自店の役割を見失い、経営をおざなりにしてきた傾向は否めない。
 この事例からだけでも、それぞれの経営資源の大小(量的・質的)と最適な戦いの場をマッチングさせることで消費者に深い満足を提供できる余地は十分ある。縁あってこの商店街のある店と最近関わることになったが、その店は見事なほどの顧客づくりで、大型店との棲み分けを実践していた。