長期ビジョンとの整合性を再チェック

給与規定の改定をしたいので相談にのってほしいという要請がある。企業に出向いて話を聞くと、職能給制度を導入したがあまりうまく機能しないので、成果主義型の考え方を取り込んだものに改定したいというのである。しかし、現実的な狙いは人件費の削減である場合が多いのも事実である。
 給与制度は人材という最大の経営資源を最も有効に活用するための重要な人事制度であるから、締めつけの論理による改定は、経営資源を無駄にすることになり、やり方を間違えばかえってコスト増に繋がってしまう。こうした共通認識に立たなければ、相談にはのりかねる旨を最初に伝えることにしている。
 いよいよ企画立案に入ることになるのだが、その過程で長期ビジョンとか経営戦略に話が及ぶと、そこは依頼事項(給与規定の改定)とは無関係なので、触れてほしくないそぶりが感じられるようなことがある。しかし、まず合理的な給与規定ありきではない。何をするために人材をストックし、どのように活動してほしいのかが明確でなければ意味がない。
 すなわち、人事戦略は経営戦略と表裏一体のものであり、個別に独立して機能するものではないことを理解しなければならないのだが、担当部門が違うという理由で、人事部門はもっぱらコストの削減が中心課題となっているから、従業員の働きぶりを評価する基準すら不明確で職能給としても機能していないのである。
 こうした場合、マーケティングにまで話が及び、かなり回り道をすることになるが、本末転倒にならないためにも、長期ビジョンとの整合性をチェックしなければならない。つまり、人事制度ないし給与制度は、経営理念を具現化するための活動成果を評価するシステムでなければ意味がないということである。