予算管理の意義と予算編成スタイル

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予算管理とは、企業の利益計画を見積損益計画書、見積貸借対照表をはじめ各種の会計モデルにより、計画を設定して統制するシステムである。利益計画とこれを支える資金計画が設定できれば、これに基づき企業全体の予算編成ができ、各部門間の調整を行うほか実施活動を統制する計数管理方式が確立できる。
 予算統制は原価統制と同様に手法としては差異分析を多用するが、責任追及に終始する狭義の予算統制だけではなく、予算編成の動機づけが大きな目的であるため、この編成に当たっては、できるだけ部門やその構成員の意見を反映させた編成方針を打ち出すべきである。
 次にその予算編成のステップであるが、まず、長期利益計画に基づいた、利益目標とそれを達成させるための前提条件、原価などを盛り込んだ大枠の利益計画を策定し、これに基づき各部門に対し予算編成方針として示達する。これを受け各部門は、この方針に基づいて部門予算を作成しトップにフィードバックする。
 各部門から上げられた部門予算を全社的な見地から調整し、最終的に見積損益計算書と見積貸借対照表に統合され最終予算となる。この一連の流れは時間的制約上からも延々と続けられることは不合理なので、最終的にはトップの判断に委ねられることになる。
 中小企業では、見積損益計算書までは作成するが、見積貸借対照表までは作成していないのが通常のようである。この理由を尋ねると、「予算はあくまで予算であり、これまで一度も予算どおりに実行されたことはないし、現実的にも売上げの予測が立たないなか、書類として整えることの意義は薄いのではないか」というコメントが返ってくる。
 しかし、これは大きな誤解であると言わなければならない。何故ならば、設備投資を行い、製品も製造し、ある程度の売上げを想定しているからこそ、それなりの人員も配置しているのであり、成り行きに任せていては、配置した人員の給与支払いもままならないことになる