原価統制の領域は是正措置にまでおよぶ

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総合的な原価管理は、原価計算が中心であるから、ORやIE、VEなどが手法として用いられるが、これらの技術は専門家の助力が必要となる部分も多く、受け入れ態勢の不備や時間的制約から、十分に機能しない場合もあり、一般の中小企業には導入しにくい面がある。
 そこで、総合的な原価構造の改善という点にスポットを当て、同業他社の原価構造も参考にしながら、主に費用の適正配分を抽出する分析を用いている。分析の手順は、まず財務分析の結果導き出された指標をロジックツリーにプロットし、付加価値を構成要素で分解したのち、利益を生み出す因果関係を探り出す。
 つまり、利益から逆にたどり、原価構造の適正度を評価する方法をとるのである。用いる手法は重回帰分析で、目的変数は原価そのものであったり、総利益あるいは営業利益だったりケースバイケースである。その理由はなるべく説明変数の数を減らしたいからである。
 説明変数が少なければ分析の精度は一般的に落ちるが、原価の引き下げを目指す場合は、着目する変数が少ないほど、経営資源の配分にメリハリがつくので、現場レベルでの統制がよりしやすくなるというメリットがあるからである。私の場合は説明変数3?4つを限度とし、その場合の回帰式の精度を0.7以上の決定係数を目安としている。
 この分析の勘所は、ロジックツリーをモニターしながら、重回帰分析をおこなうところにあるが、ロジックツリーとは、デュポン方式といわれる財務分析の発展型で、経営資本対営業利益率をトップに据え、これが形成されるプロセスを下に向かって論理的に辿って行くやり方で、下方が幹で上が果実という木になぞらえている。