原価計画策定に当たっての多角的アプローチ

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コスト・マネジメントと呼ばれる原価管理は、利益管理の一環として、企業の安定的発展に必要な原価引き下げ目標を設定するとともに実施計画を策定し、その実現を図るための管理活動である。すなわち、原価管理は、原価のみを管理するのではなく、利益の増加に寄与する管理として位置づけられる。
 したがって、原価計画の策定は、原価の設定(コスト・プランニング)と原価統制(コスト・コントロール)の2つ方向からのアプローチが必要となる。原価計画では、まず原価引き下げの目標を明らかにし、その目標を達成するために最良の方法を選択しなければならない。
 具体的策定方法は、原価の引き下げが自社単独の範囲を超えるような場合は、業務提携、系列化なども含めて引き下げのための環境改善までも含めて展開される。また、原価引き下げを実施するために必要な物的設備や人的組織を改善することで、この枠組みのなかで最良の改善活動を展開できるような条件を整えるための代替案を探索し、評価・選択を行う。
 一方もう一つの柱である原価統制は、原価の設定、設定された原価標準の指示、標準達成の意欲づけ、原価資料の収集を経て、原価標準と実績との差異を測定・分析し、原価報告を行うというプロセスで行われ、当然この流れのなかで必要に応じて是正措置がとられる。
 一連の原価計画は実施の局面では、中核的な活動は原価計算であるが、手法としてはORやIE、VEなどが用いられ、原価標準の算定、標準原価計算、直接原価計算、特殊原価調査(管理会計特有)が実施され、最終的には損益計算書として決算報告されることになる。
 なお、特殊原価調査では、未来原価(未来において発生する原価)、埋没原価(代替案に共通の原価)、差額原価(原価総額の増減)、機会原価(逸失利益)、付加原価(財務会計では原価とされない原価)、回避可能原価(代替案の選択によって避けることのできる原価)、延期可能原価(支払いを将来に先延ばしできる原価)などを用いる。