事業投資採算シミュレーション

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企業が新たに事業投資を行う場合、それが設備投資であるか多店舗展開など直接設備を伴わない投資であるかを問わず、プロジェクトの投資額の回収スピードと採算性をまず検討することから始める。この時点では企業の大綱方針はすでに決定しているという前提に立てば、設備投資による効果の予測が中心課題となる。
 そこで、事業投資採算シミュレーションが必要となるわけであるが、何のよりどころもなしに、売上げや利益を予測することは非現実的である。通常の場合は、既存の事業分野(自社とは限らない)の市場規模の把握や市場細分化の可能性の予測に基づいて、採算性、資金調達額、資金コストを変数したシミュレーションを行うことになる。
 この場合これらの変数は、文字通り変数なのでどれ一つとして確定していない訳であるし、特に採算性などは、プロジェクトの目的よっては利益よりも売上げに重点を置く場合もあるので、細目の目的変数は戦略目標により異なるなどの理由で、資金調達額や資金コストの評価も変動することが予想される。
 このような背景を所与の条件として分析を試みるためには、まず、市場における自社(あるいは進出先の同業他社)のポジショニング分析を行い、その結果明確になった市場をリードしている企業の経営資源の配分(構成)を拠り所にして変数を仮設定する。次に、これを基に自社の目的変数を選定する。
 最後にこれらの変数を用いて、重回帰分析を行いプロジェクトの目的変数を最大にする重回帰式を抽出する。このとき、必ずしも最初の試みで、精度の高いしかも目的に沿った回帰式が得られるとは限らないので、変数の入れ替えを行いながら分析を繰り返し行う。一定の水準に達したらその採否を決定する。