資金管理は、資金の種類(性質)別に分けて管理する

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資金管理の意義は、まず資金の円滑な循環を保証することである。現金・預金は最も基本的な生の形であるが、経営活動に投入され様々な段階を経て再び現金資金に還流されるが、この総量を節約することも重要な役割の一つである。
 節約という意味は、財務流動性が必要以上に保持されていれば、収益性にはほとんど影響のない資金、つまり経営には無駄な資金を保有していることになり、資金効率を低下させてしまうことになりかねないからである。
 資金管理の対象となる資金には、上述の現金資金のほかに運転資金という概念がある。これは、手持有り高以外の現金資金は、原材料を購入し加工したりして完成品になり、これを売却して売掛金や受取手形という形で回収され再び現金資金になる。
 さらに、運転資金は日常の営業循環によって還流されるのに対して、一旦投資されると回収には長期間を要し、しかも、この回収には減価償却という会計的手続きによらなければならない設備資金管理がある。資金管理はこの3の側面から管理されなければならない。
 したがって、資金調達計画もこの資金の性質によって、長期資金、運転資金別に源泉を吟味するなどの配慮が必要となるが、財務基盤の脆弱な中小企業の場合は、運転資金である短期資金で、設備投資をまかなっている場合がかなり見られる。
 いずれにしてもこれらの資金管理は、資金運用表と資金繰り表を並列して管理する方法が採られていたが、近年では、この2つ性質を包含したうえ、さらに営業成績も同時に管理できるキャッシュフロー計算書が多用されるようになってきている。