資金調達計画は、資金管理の目的を念頭において

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資金管理の目的は、端的に言って資金の円滑な循環を保証すること、そして循環する資金の総量を節約することである。対象となる資金は現金資金、運転資金、設備資金に分けられるが、その資金の性質により調達の手段も異なる。
 調達の源泉(金融の形態)としては、利益準備金、任意積立金、次期繰越利益、減価償却などの自己金融(内部金融)と証券金融(社債発行、株式発行)、借入金融(長期借入金、短期借入金、手形割引)、企業間金融(買掛金、支払手形)などの外部金融に分けられ、さらにこれらは期間の長さによって長期金融、短期金融に分けられる。
 次に調達コストについてであるが、まず、内部金融コストはその性質上配当や利子といった形のコストはかからないが、資本コストはゼロではない。機会原価の考え方からすれば、最良の投資先に投資した場合に得られるであろうと見積もられる収益がコストである。
 借入金コストは、{名目借入金の支払利息?受取利息}/{名目借入金?預金額?付帯費用}となるから、実質的な支払利息率は、名目借入金利息よりかなり高額となる。また、社債のコストは、{社債利子+(額面価格?市場価格+社債発行費)÷満期までの年数}/(額面価格+市場価格)÷2となるので、実質利子は発行会社の市場価値によって大きく異なる。
 実際の資金調達は、これらの金融を適宜組み合わせて行われることになるが、その場合は、当然資本コストと資本構成を勘案して加重平均コストを算出することになるが、自己資本利益率と財務レバレッジにも十分配慮する必要がある。
 資金調達計画は、最適な資本構成を目指しているものであるが、実際には事前に把握することは困難なので、近似的水準を求めるための分析としてキャッシュフロー分析を用いて検証する。この分析は、変動する経済環境の下でも、安定した正味キャッシュフローを保証するような資本調達をシミュレーションするツールである。