中小製造業が製品開発をするときのポイント

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IT関連の商品はめまぐるしく開発され、文字通り日進月歩の感がある。その中でも、携帯電話は群を抜いているように思われるが、市場規模が大きいことから細分化の基準も多様なものがあるためか、計画的な陳腐化戦略もかなり多いようである。
 このように技術革新と多様なニーズの組み合わせ、それにベースとなるインフラ整備が相乗的に作用して発展を遂げていく製品は、一度開発された中核的機能がそれほど進歩しなくても、多様なオプションが可能であるため、「新製品」と銘打ってもほとんど違和感がない。
 このように、最近の新製品はこまめな技術革新を次々に導入することで、潜在的ニーズに応えるというよりは、知覚されている目先のニーズとの掛け合いで導入されるケースが多く、開発者側のマーケティングコストを節約する効果があるように思われる。
 一方中小企業の製品開発は、伝統的なパターンが多くシーズ型が主流のようである。つまり、開発者の論理で市場を規定し、誰がその製品を評価するかという視点より、「よいものだから売れるに違いない」という考えが先行している。
 最近ある食品製造業の製品開発に関わったが、社長が開口一番私に言った言葉は、「食べてみてください」だった。なるほど食べてみれば結構おいしいし、食品である以上は食べてみなければ始まらないというのももっともな話ではある。
 さらに突っ込んで話を聞いてみると、原材料も製法も新しく同種の製品と比較すると、製造原価もかなり安いとのことである。しかし、同種とはいっても肝心の消費者がどのように評価するかということに対する配慮は全くない。
 中小企業の経営者は企業家精神が旺盛なため、シーズ型の製品開発になりがちだとしても、近年のように製品ライフサイクルの短絡化が加速しているなかでは、革命的な機能をもった新製品でもない限り、知覚されたニーズをモニターしながらでなければリスクが大きい。