成熟した市場では、製品属性戦略が死命を決めることもある

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製品のライフスタイルが成熟化すると、中核的機能である第1次品質は同業他社と大差がなくなるため、自社製品に何らかの形で新機能を付加し、他社製品との差別化を図ることで、自社製品の差別的優位性を誇示しようとする。
 この製品差別化戦略には、素材、製品デザイン、特異性、性能・機能、品質、スタイルなどの製品の属性に関するものと、包装、容器、ブランド、ラベル、広告など製品の属性を助長するものなどがあり、同質市場を対象とした非価格競争である。
 このうち、製品の属性に関するものを2次品質、属性を助長するものを3次品質と呼ぶことがあり、2次品質は1次品質を判断するのに重要な役割を果たしているため、審美感、快適感などが必要とされているほか、3次品質によって形成されるイメージ品質の媒体となる。
 また、企業は製品差別化戦略を発展させた形で、製品多様化戦略を打ち出すこともある。この戦略は企業の安定的成長を図るため、余剰能力の有効利用や販売上の有利な地位の確立、製造工程の共有によるコストダウンなどを目論み、需要の多様化に応ずるものであり、この場合も、基本的には製品属性戦略がとられることになる。
 ただしこの戦略はあまりに加速されると、新たな需要を喚起するために、計画的陳腐化に発展する虞もあるので、消費者の支持が得られる限度に止めなければならないが、時には消費者が仕掛け人になることも少なくない。
 いずれの戦略を選択するにしても、製品ポジショニング分析により、成熟化した製品が競争相手の提供する製品と比較して、消費者の心の中に占める相対的地位を把握することで、差別化のポイントを探らなければならない。