大量生産に馴染まない小ロット受注型に特化する戦略と、保守的消費者を標的とする戦略とは市場の捉え方が根本的に異なる。前者は同業他社の大量生産力を機能不全に追い込んでしまうことが戦略の基本である。
これに対して後者は、消費規模が縮小して市場の魅力度が減退したため、同業他社が市場から撤退するなか、残された消費ニーズを市場とみなし、一定の経済セグメントとして捉えることで、経営活動を展開する戦略である。
ところで保守的消費者とはどのような顔をしているのだろうか。単に頑固というだけではないし、まして低所得ということではないが、何らかの理由で技術革新を積極的に受け入れない層というプロフィールがイメージされる。
確かにそうした側面は否めないかもしれないが、ここでは思想や人間観の相違から捉えれば、必ずしも革新的でないとは限らないことに気づく。例えば、無農薬野菜に拘り続けている消費者などは、保守的なのではなくむしろ革新的過ぎたため、一時期少数派だったことが保守的に見えたに過ぎないということもある。
つまり、保守的消費者の中には、陸上のトラック競技でトップ集団を走っているものと、1周遅れでトップ集団と見分けがつかなくなっているものが混在している。これらを同じレベルの走者として扱うのではあまりに理不尽である。
中小企業がこの戦略を選択する場合に、最も注意する必要があるのはこの点である。需要を形成する前にやや漠然としたニーズあり、その前に、「こういうもはないのかな」といったウオンツがあるはずである。このメッセージを適正に振り分ける装置がなければ、経済セグメントを設定する戦略は成り立たないように思われる。
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