既存市場、既存製品ともに成熟化しているため、余剰資源を再投資する戦略

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この戦略はいわゆる多角化戦略である。既存市場、既存製品ともに成熟化しているのであれば、余剰資源を再投資する新市場を開拓すると同時に、その市場にフィットした新製品を開発しなければならない。この場合によく言われるのが、シナジー効果がよりはたらく分野を選択するというセオリーである。
 確かに市場も製品も成熟化していることを前提にすれば、消費者が存在しなくなるわけであるから店をたたむしかない。例えば、中小都市の映画館などが典型的であるが、実際にはそうしたものはそれほど多くはない。何故ならばこの映画館の例もそうだが、市場を近視眼的に捉え過ぎたため、ニーズの束が分散してしまったと考えるべきである。
 玩具市場を支えている消費者を子供と決めつけたセグメントでは、少子高齢化は脅威そのものであるが、遊びという切り口で括りなおせば、市場規模は膨大なものに変身することになる。つまり、遊ぶことは子供の専売特許ではないから、「遊びたい人」を一括りにすれば、大人をターゲットとした新製品の導入も可能になる。
 このような戦略を多角化と呼ぶかどうかは別として、中小企業が本格的な多角化戦略に踏み切るためには、経営資源の質量を慎重に分析しなければならない。安易に多角化に踏み切ると、既存市場と新市場の双方から攻撃を受けることになり、抜き差しならない状況に追い込まれてしまうからである。
 多角化というよりは、業態転換に近いかたちの相談は結構多いが、いずれの場合も、既存の業種・業態のなかで戦ってゆくための工夫が不足しているのに、そのことは省みることなく、なかば無防備な形で新市場への参入を志向している。