既存市場は形成されて間もないか、あるいは満たされない潜在的ニーズが知覚されている場合には、新製品導入で成長を目指すことになるだろう。例えば、乗用車市場において、一般市民が顧客機能を手に入れた時期には、品揃えも少なくどちらかという、商品に顧客ニーズを合わせるといった感じであった。
それほど高級ではない手軽なクルマを求めているのに、クルマがほしい人は高級車をどうぞというミスマッチは、そのまま潜在的ニーズとして認知されるところとなり、ファミリーカー、セカンドカー、コンセプトカーなどのカテゴリーが次々に登場し、今日のような巨大市場に成長を遂げたのである。
このように同じタイプの顧客に向かって、既存市場では満たされないニーズにスポット当て、一歩進ん だ新製品を投入する戦略はよくとられる。つまり、この戦略が選択される土壌は、成長を続けているかあるいは何らかの延命策を講じることで、成熟化を遅らせる可能性がある市場に向かって展開される。
これに対して既存製品を新市場に投入する戦略は、どのような背景の下に展開されるのだろうか。一般的に考えられるのは、既存市場が成熟化してこれ以上市場展開しても投入コストが回収できない場合である。また、この場合でも既存市場と同質のニーズが確認されなければ、むずかしいことになる。
しかし、実際にはよく見かけられる戦略である。例えば、従来は子供向けであった漫画本を改変して一般市場を開拓する、あるいは、女性専用であった化粧品を男性市場に投入する。これらの市場開拓戦略は、品質の改善や教育的マーケティングの展開が不可欠であるから、基本的には既存製品の延長であっても、開拓にはかなりのリードタイムが必要となる。
コメント