リーダー型と誤認して、フルカバレッジに固執していませんか

あらゆる製品が社会の末端までゆきわたるようになったためか、商品のライフサイクルはますます短絡化する傾向にある。この傾向が技術革新とあいまって、新製品開発に拍車がかかり、業界のリーダー型企業ならずとも、何時しか製品ラインが増加している。販売量はそれなりに増加している場合は、次々と新製品を導入しても、在庫の回転率も高いので、業績は伸びていると感じられることから、心ならずもフルライン化に向かってまい進してしまうといったケースはよくある。
 しかし、ひとたび何らかの事情で受注がストップすると、たちまち在庫過多に陥ってしまい、資金繰りがタイトになってしまう。財務基盤の脆弱な企業はもとより、多少体力があったとしても五十歩百歩の感がある。
 私に相談が持ち込まれるのは、こうした状態に陥ったケースが一番多いように思われるが、率直に言って、手遅れの場合もかなりあり、再生よりも整理を視野に入れた対応が望まれるのに、経営者は全くそうした方向は念頭にない。
 もちろん、最終的な結論を出すのは経営者なので、むげに「整理」を進言するわけにもいかないので、取り敢えず財務分析を試みるのだが、この場合の分岐点(整理か再生か)は在庫高の多さと処分可能性である。
 具体的に言うと、販売不振による在庫過多の場合は、値引き販売の可能性を考えるのがセオリーであるが、そうしたチャレンジの時点はすでに過ぎていることが多い。つまり、経営者が誰よりも先に実施するはずであるということだ。
 はっきり言ってしまえば、帳簿上の在庫はすべて不良在庫で、ほとんど換金性がない場合が多いのである。こうしたマーケティング上の失策を客観的に評価することなしに、運転資金が調達できれば、再生が可能だとひたすら信じようとしている。