法律の改正の影響はありますか

法改正といえば、まず一番にあげられるのが新会社法であろう。これまでの会社法は、わずか3,000社の上場会社を対象としたもので、非上場会社や中小企業に関する規定は、大原則を除けば、他の施行規則などに特例として扱われていたが、今回の新会社方ではこの点を改め、200万社の法人にあまねく適用されるものとして整備された。
 言ってみれば、これまでないがしろにしてきた中小企業を、主役として扱うことにしたという点では評価できるが、当の中小企業にとってはいささか厄介に感じる面も散見され、定款の整備に着手している企業も多いと思われる。
 さらには、「会社法の施行に伴う関連法律の整備等に関する法律」も同時に施行され、有限会社法、商法の一部を改正する法律の施行法、商法特例法、その他の法律が廃止されることとなり、これが個別企業にどのような影響を及ぼすかも見逃せない。
 更に、平成18年4月1日に施行された高年齢者雇用安定法は、年金の支給開始年齢の段階的引き上げに伴い、原則として65歳までの再雇用を義務づけるもので、有効求人倍率の回復がスローペースの現在、進捗状況はあまり芳しくはないようだ。
 企業の側からすれば、景気や業績が大きく変動する虞がある中で、雇用という固定的で重い決定を迫られることに対する抵抗感は否めない。国としても、そうした経営者感情に配慮して、具体的でかつ客観的な制限条項を設ければ、希望者全員を再雇用したものとみなす経過措置を講じている。
 中小企業といえども、コーポレートガバナンスは決して対岸の火事ではなく、夫々のポジションにおいて社会的貢献を果たさなければならない。そうした前提に立てば再雇用の門戸をいつまでも閉ざしておくのは望ましいことではない。