技術革新に対して前向きですか

技術革新の捉え方は様々であるが、科学技術の革新に限定しても、IT革命に代表されるエレクトロニックス、多様な素材を生産現場にもたらした石油エネルギー、環境汚染や生態系をテーマとするエコロジー、そしてバイオテクノロジーなどが挙げられる。
 これらの方向は規模の大小を問わず、企業経営にとって無視できない分野であり、自社の製品開発と直接結びつけなくても、何らかの関わりをもって、経営革新を促すことになることは確実である。
 そうした意味では、技術革新に対して後ろ向きである経営者は存在しないはずであるが、中小企業がいざ取り組むとなるとリスクが大きく、どうしても消極的にならざるを得ない、というのが本音のように思われる。
 これまでのベンチャー企業の事例をみても、技術革新のスピードが速く、商品のライフサイクルも短絡化しているため、消費者の嗜好の変化に追いついていけず、安易に技術開発に取り組んだために、経営破綻に追い込まれたものも少なくない。
 また、経営資源が脆弱な中小企業にとっては、開発費用の調達が困難な場合も多く、商品化にいたるまでのリードタイムの長さ、研究に従事する人材確保難、関連する技術のストック不足などから、開発をリタイヤせざるを得なくなった例も多く見られる。
 それでは、優れた技術力を持っている中小企業は、どのようなスタンスで技術開発に取り組んだらよいのだろうか。その答えは簡単ではないが、まず、コアとなる自社の技術を客観的に評価し、その上で産学官の連携(TLOの活用)や異業種交流などを、適宜組み合わせて活用することが無難であるかもしれない。