現在の市場において製品の差別化は可能ですか

製品の差別化とは、認知された特定の市場において、同業他社が提供する製品との差異を意識した戦略のことであり、それは価格だったり、コアとなる品質だったり、提供するサービスであることもあるし、これらの複合体であることもあり得る。
 このように考えれば、「製品の差別化は可能ですか」という問いかけ自体愚問であったと反省せざるを得ないが、中小企業の中には、資金調達力をはじめとして、経営資源が脆弱なため、製品差別化戦略などとても無理な話だ、と半ばあきらめ気味に話す経営者も結構多く、アドバイスの言葉もない心境になってしまう。
 経営資源が脆弱であることは、自他共に認めるところであるとしても、その脆弱な資源も使いこなせないのでは、泣くに泣けないという開き直りを期待したいところであるが、現実には冷え切った気持ちに火をつけるのは骨が折れる。
 しかし、もともとビジネスチャンスに目ざとい経営者なら、必ず差別化のヒントを探し続けているに違いない。そうした差別化戦略構築への道は、意外に身近なところにあるということを、体験することから始めてもらいたい。
 具体的な考え方については、後日、「製品計画の属性戦略」のところでお話するとして、ここでは、大枠の考え方についてだけ触れておきたい。商品(製品)は大きく分けると、モノ的商品とサービスを付加した商品があるが、前者は例えて言えば「釘」とか「箒」など特別使い勝手など説明しなくても、ハード面の機能を重視して購買する商品である。
これに対して、「マッサージ」や「精神科医療」などは、サービス自体が商品であるが、この中間に位置する商品は、大なり小なりハード面とソフト面の両面を持っている。ここに着眼すれば、差別化のヒントは無数にあることに気がつくはずである。