市場での自社の競争力は高いと思いますか

市場での競争力といっても、企業イメージを反映したブランド力の強さで測るのか、あるいは特定商品の市場シェアを問題にするのかによって、競争力の高さも違ってくると思われるが、中小企業の場合は、特定地域や産地の同業者間のシェアを意識して、競争力を測っている場合もあるなど、抽象的で掴みにくい面もある。
 ここでは市場をどう設定するかによって、競争力の測り方も違うということを主題にして、話を展開したい訳であるが、市場をある括りで明確に規定していなければ、競争者も明確ではないので、市場における自社のシェアも測定できないことになる。
 しかし、競争相手と目される企業がどのように市場を捉えているのかが、明確でない場合、市場そのものの存在感も疑わしいことになり、これを形成している特定のニーズさえ見えない訳であるから、市場戦略を展開する側にとっては、何を拠り所にして経営資源を集中させればいいのかが定まらないことになる。
 市場を設定する切り口は、無数にあることを前回のべたが、いたずらに細分化すればよいというものではない。そこには一定の競争相手が存在し、かつビジネスを展開する経済規模を有していなければ、企業経営における市場として適当ではない。
 自社の特徴を生かせる分野が小さければ、それだけ参入障壁が高いとも解釈できるが、その場合は、企業経営が成り立つ経済規模も小さいので、他の企業が参入しないと考えるべきである。つまり、そこはあまりにも魅力のない市場である。
 高齢化者社会を迎えた今日、労働集約的企業の出番も多くなることが予想されるなか、設備投資能力の脆弱さだけを理由に、市場の変化を捉えようとしないのでは、永久に競争力は向上しないことを再認識しなければならない。