営業利益を最大にする費用配分方式は確立されていますか

多くの中小企業では、借入金の返済という制約条件もあり、一定水準以上の営業利益は安定的に確保しなければならないため、景気が落ち込み売上高が思ったように伸びない場合、諸経費の節減によって営業利益を捻出しようとする。
 この際留意しなければならないことは、どの費用をどの程度圧縮するかをよく検討しなければならないことである。一般的に定番となっているのが、交際費、交通費、教育訓練費など比較的売上に影響しない費用を見直すというやり方である。
さらに売上げが減少すると、いよいよ人件費に及ぶことになるが、この時はすでに売上げの減少が経費の削減に繋がったのか、それとも、経費の削減が売上げの減少に陥る原因になったのか、因果関係がはっきりしなくなってしまっている。
無駄を削減することは何も不況期に限ったことではないが、売上げや利益を実現するため必要な経費と、もともと無駄な経費を判別することなく、闇雲に削減を行うと上述のような悪循環に陥ってしまう。
ある産地産業で巡回診断を実施した時のことであるが、売上げは経営規模の大小を考慮すればほぼ同程度であるのに、最終的な利益になると雲泥の差が生じている。これは明らかに費用の配分の差である。
しかし、経営成績の芳しくない企業は、異口同音に不況や経営環境の悪化が経営不振の原因であるとコメントしているから不思議である。ちなみに、これらのグループは売上げと費用の対応関係はまったく認められなかったが、黒字グループは、固定費は最小に抑えられているため、全体として売上の増減と総費用が連動している。