当社の企業価値を測定するモノサシを持っていますか

最近ある種ブーム化している向きもあり、必ずしも愉快ではないが、M&Aがコンサルティング市場で注目を浴びている。その場合に問題になるのが、対象企業の現在価値についての評価方法である。
 土地などの固定資産は、市場価格を基準に評価するので、ある程度客観的に扱うことができるが、営業譲渡が主な目的である場合は、目安となる市場価格はないに等しく、時間との関連で企業価値が決まってしまう。
 つい先日もこうした場面に遭遇し、両者の評価があまりにも差があるため、買収話は破談に終わってしまった。これは氷山の一角に過ぎず、正当な評価が常に把握できていれば、取引の流通性は促進されることになる。
 企業価値を測定するモノサシを持つということは、必ずしもM&Aを前提にしているものではないので、そうした意味では、常に価値を測定しておく必要はないかも知れないが、少なくとも、キャッシュフロー会計を志向するのであれば、投入資本の現在価値ぐらいは最低でも測定しておく必要はあると思われる。
 企業の成長性を評価する場合でも、企業価値が原点であるはずであるから、投下資本との関連で付加価値を評価するのが当然であり、単に対前年比の売上伸び率などだけで、企業の成長を測定するのは不合理である。
 このように考えれば、「企業価値を測定するモノサシ」とは、経営理念を反映した経営計画の目標値と、その達成度の妥当性を検証し続けることによって、精度の高い評価軸がうまれる。つまり、経営計画を実践することで新たに形成された価値観にほかならない。