最近の収益状況は上向きですか、それとも下降気味ですか

企業の成長を評価する目安は何といっても売上高の伸張であるが、近年のように市場が成熟化し、あらゆる製品が市場に出回っている状況下では、製品のライフサイクルも短絡化しているので、安定して売上げを伸ばし続けるのは困難になってきている。
 こうした状況下にありながら、成長し続けている企業はどのような戦略をとっているのだろうか。最近目立つのはM&Aにより力ずくで成長している企業で、これも一種の経営革新には違いないが、経営資源のシナジーというよりは、余剰資本の再配分による規模の拡大が実態であり、経営資源の脆弱な一般の中小企業には高値の花である。
 次に目につくのは、大企業の寡占化ないし国際化戦略に呼応して伸びているタイプである。もちろん、優れた技術力などに裏打ちされているなど、ある程度の実力を備えているという共通性はあるものの、勝ち馬に乗った感は否めない。自動車産業の生産戦略と地場の下請け企業の組み合わせなどがその例である。
 もう一つは、「残りモノに福あり」とでも言うべきタイプである。このタイプの企業の特徴は、保守的で時代の変化に対して冷ややかであるように見えるが、自社のポジションをよく見極め、小規模化した市場を守り抜いている。最近話題になっている風呂敷などもその例である。
 ごく少数ではあるが、厳しい経営環境の中で着実に成長し続けている企業もある。これらの企業群は、いずれもマーケティング思考の経営に徹しているのが特徴である。つまり、市場ニーズを先取りして、いわゆるCRM(顧客関係性経営)を実践している企業である。