手元流動性はどの程度であれば理想的だと思いますか

手元流動性とは、企業がどの程度支払能力を持っているかを示すもので、最も流動性の高い資産は現金・預金である。したがって、手元流動性が高いという場合は、現金・預金がどのくらいあるかを言う場合が多い。
 通常、平均売上高に対する現金・預金の比率で示されるので、現金・預金が月商の2倍であれば、2か月ということになるが、この中に短期保有の有価証券も含めて、手元流動性を表す場合もある。
 また、資金繰りのタイトな企業では、せめて2か月分の人件費は手元に確保しておきたいという切実な場合もあり、手元流動性を評価する論理的な根拠は、いまだ明確に示されてはいないが、低下すれば企業の存亡にもかかわる重大な数値である。
 反面、企業経営においては、現金・預金ぐらい付加価値のつけにくい資産はないので、手元流動性を高めることに固執すると資本が固定化され、運用効率が低下してしまう虞もあり、何をよりどころにして現金資金管理を実施すべきか迷うところである。
 経営内容が健全な企業の場合は、安全性をより重視するため当然手元流動性は高いが、その分、どうしても貸倒引当金の繰り入れも、多額になるという面もあり、安全性を重んじることで顧客の与信度管理が甘くなってしまっては意味がない。
 それでは、手元流動性を高めることと資金効率を高めることとは、「君子危うきに近寄らず」と「虎穴に入らずんば虎子を得ず」という関係にあるのかというと、決してそうではないことは説明の余地はない。