ギヤリング比率はどの程度に保たれていますか

ギヤリング比率とは短期借入金、長期借入金、社債の合計と自己資本の割合であり、金融機関が優良企業と評価する目安は通常250%以下といわれているが、自己資本比率とにらみ合わせて評価しなければ、本当の安全性は判定できないはずである。
仮に借入金と自己資本のみで総資本が形成されているとすると、ギヤリング比率が250%の場合の自己資本は28.6%、借入金は71.4%ということになるから、この時の自己資本比率は当然28.6%になる。
しかし、通常は買掛金や支払手形、未払金、各種引当金、その他の負債が総資本に加わるから、自己資本比率はこれよりも低くなる。こうした場合には、ギヤリング比率は高く評価されても、自己資本比率は低い評価になる。
安全性を判別する場合に、もうひとつ考慮しなければならない指標に、流動比率がある。ギヤリング比率を抑えようとすると、上述のように企業間信用が多用されるため、流動負債が大きくなるから流動比率が縮小することになり、安全性を損ねることになる。
 一般に借入依存度の高い中小企業は、こうした尺度でランクづけされているので、やむを得ずこれらの指標間のバランスを保とうという意識が働き、収益力を高めるための資本構成から乖離した管理が慣習として行われている。
 金融機関が最も重視する指標は、債務償還年数とキャッシュフローであり、これに次ぐものとしては、自己資本額、インタレスト・カバレッジレシオであろうが、これらはいずれも、貸手側から見た評価であり、企業側としては投下資本を効率的に運用すること、そしてその成果を最大にすることが本来の使命である。