自分の話したことや行動の関連性を一貫させたくなる。一貫させるためにつじつまを合わせようとする。2つの事象に対して何かしらの意味を見つけようとする。
《行動の特徴》
人は自分の発言や態度を一貫したものにしたいし、他人からもそうみられたいと考える。一度いってしまったので後には引けない、という経験もあるはずだ。一貫させるのがよい理由は3つある。1つめは表裏や嘘のない人だと社会からの評価が高くなるから、2つめは言動と行動が一致していると相手に理解が得やすいから、3つめは疑う必要がなくなるからである。一貫性は、他者と仕事や生活する上では欠かせない能力である。
人は一貫性を他人にも自分自身にも強く求める。そのため、発言や態度を示す発信側も、それを見聞きする受信側にも、それぞれ一貫性の思考が過剰に働く。発信側は、自身の行動を束縛してしまうことがある。自分の意見や立場を主張することを、コミットメント(宣言)という。政治家のマニフェストもこれに当たる。コミットメントは、社会的信頼を得たり他者に安心を与えることができるが、一度発信してしまうと、後には引けなくなるリスクもある。
例えば、「AとBどちらが好きですか?」という質問に「Aの方が好きです」と回答すると、Aにコミットメントをしたことになる。次に「どんなところが好きですか?」と聞かれると、Aのよい点を多く挙げて、Bは悪い点を多く挙げるようになる。実はBもそれを悪くないと思っていてもだ。この状況をうまく利用して、相手の考えや行動を制限するよう仕向ける人もいる。
「だって、さっきそういっていましたよね?」と話す承認誘導というテクニックで、一貫性を利用して相手を不利な状況に追い込む。受信側は、つじつま合わせの思考が働き、勝手に一貫性のあるストーリーを作るようになる。これは簡単にいうと、思い込みである。例えば、外の天気が曇り空で歩いて人が傘を持っていたら、それを見た人は「きっと雨が降るに違いない」と考える。
でも実際は傘を持っているのは、前の日に置き忘れていただけかもしれないし、別の用途で持っているかもしれない。多くの人は、曇り空と傘の2つの事象を、1つの文脈に勝手に結び付けてストーリーを考える。このことを「錯誤相関」というが、これも一貫性志向のようなものであるる。子供の頃は一貫性をさほど意識しないが、大人になるにつれて一貫性を強く意識するので、年齢によって一貫性の施策が効果的であるかどうかが変わってくる。
《活用方法》
活用1.カテゴリをつくる
「森ガール」「ノームコア」などのファッションスタイルは、言葉が定義付けられたことで広く認知されるようになり、そのスタイルを支持する人も増えた。新しいものには共通認識がないため、ユーザーは一貫した行動を意識することが難しい。そこで名前や分類などカテゴリを定義することで、一貫性を高めることができる。
活用2.シリーズでそろえる
商品やサービスの世界観や思想に惹かれると、それ以外のものを混ぜることは一貫性がないと考えるようになる。例えば、ファッションやインテリアなどに適用できるし、Appleユーザーはなるべく〈Apple製のデバイスをそろえようとする。ビジネス側の一貫性が高いほど、ユーザーはその会社を長く幅広く使ってくれるようになる。ただし、ユーザーをガチガチに束縛させると、窮屈さや飽きを感じさせてしまう可能性もあるので、余白をもたせることも場合によっては必要である。
活用3.一部は絶対変えない
商品やサービスが進化する過程では、これまでの機能や使い勝手が少しずつ変わっていくことで、気づいたらはじめに感じていた魅力がいつの間にか失われたという場合がある。なので、いろいろ変えても一部は絶対買えないことがロングセラーの秘訣である。例えば復刻モデルを販売することは、初めにあった魅力を思い起こさせファンの心をつなぎとめることができる1つのテクニックである。
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