バイアス4 内集団と外集団(身内びいきの習性)

人はすぐに集団内と外に分けようとする。集団の所属を自覚すると能力や行動にも影響する。オリジナリティの強い内集団は外集団に攻勢をかけやすい。 

《行動の特徴》

 平和であってほしいのに争いが絶えない世の中である。それは内集団と外集団の習性が、強く起因しているのかもしれない。例えば、「MacWindowsあなたはどっち側ですか?」という問いかけをしてみる。おそらく割とすぐに答えは出て、瞬時に支持していない方の欠点を思いついただろう。自分はいつでもフラットな立場だという人は、実はそれほど多くないはずである。

 今では倫理上問題のある実験が、1961年に行われた。サマーキャンプに参加した子供たちは、2つのチームに分かれいた。はじめはお互い別のチームの存在を知らされず、協働活動によってチーム内での結束が固まった。その後、別のチームの存在を知らされ、競技を行うことになった。すると、負けたチームは相手の旗を降ろして火をつけ、それに気づいた相手チームがケンカを始めたり、ロッジを襲ったりなど、争いがエスカレートしてしまった。

 これはひどいと思ったかもしれない。でも、学校でのクラス別、部活での他校との試合、会社の中での別部門との関わりなど、内と外を分けて衝突する場面は多く思い当たるはず。どんな環境でも、ある程度の人数が交わると「自分たちVS彼ら」の構図が出来上がる。このように、自分が属していると感じるグループを内集団、自分が含まれていないグループを外集団と分類する。わかりやすい言葉で言うと「ウチ」「ソト」の関係である。

 集団の形成は文化圏でも異なるが、日本は場の中で小さい集団をつくる傾向がみられる。内と外を自覚することの影響について、興味深い実験結果がある。アメリカでは数学に対して、アジア人は数学が得意、女性は数学が苦手と捉える傾向が強い。そこで、両方を満たすアジア系アメリカ人女性に対して、算数のテストを受けてもらう前にアンケートを配った。その内容は、片方のグループはアジアのルーツを意識させるもの、もう片方は女性を強く意識させるものでした。

 するとテストの結果は、アジアを強く意識したグループは成績が良く、女性を強く意識したグループは成績がよくない結果となった。この結果が意味するのは、2つある。1つは自分が無意識のうちに内集団の所属を自覚すること、2つめはそう思い込むことで能力にも影響が現れることである。ところで、Appleはこれまで過去のCMやプレゼンテーションなどで、外集団のWindowsを度々けなして、内集団のMacユーザーにファン心理の醸成を働きかけてきた。Appleはオリジナリティを追求している存在なので、外集団に対してAppleの優位性を伝える攻勢をかけることができる。対して、2番手3番手の後発サービスには、こういったアプローチはできない。オリジナリティがあると、内集団の優位性をより強調させることができる。 

《活用方法》 

活用1.仲間に引き込む

 人は集団に対しては甘くなる。例えば、同じ職業の人の方を高く評価する、という身内をひいきに扱う傾向がある。もし相手の中に入りたいときは、何か共通項を提示すると内集団のカテゴリに認識してもらえる。「私もこれが好きなんです」と話しかける定員や、趣味の話題で共通項を探す人は、内集団の喚起をしている。一方で、注意点が1つある。それは、悪い例に内集団の人格を用いないことである。悪事に対して「あなたたちと同じような人が問題を起こしています」と注意喚起をすると、「自分もやっていいんだ」とむしろ誤認識を生むことになる。 

活用2.グループを細分化させる

 内集団と比較して、外集団へのカテゴリに対しては、おおざっぱな特徴で捉えない傾向がある。例えば、日本人は同じ日本人に対しては多様な人格を想像するけど、海外の人に対しては人格を国=人で決めつけがちだ。この傾向を応用して、内集団の中をさらに新しい分類をして内と外に分けると、残された内集団を特別視することにつながり満足度を高められる。例えば会員クラスを細かく設定することで、上位クラスに入れた層はより選ばれし者という優越感がある。ただしこれらの方法は、仲間外れ・偏見・対立の助長にもなりかねないので扱いは要注意である。 

活用3.共通の仮想敵をつくる

 内集団と外集団の両者が、仲良くなれる方法が1つある。それは、新たな敵を登場させることである。お互いが協力し合わないと助からない環境になると、集団間での敵対関係はなくなる。すると、これまでの脅威と認識していた相手が、突然頼もしい存在に切り替わる。「インデペンデンス・ディ」のような地球人が一致団結して宇宙人と戦う映画や、「ドラゴンボール」のように前作までの敵が今作では一緒になって戦うアニメなどわかりやすい例である。実際には存在していなくても、仮想敵をつくることができれば、ライバルの敵対関係を解消できる。