ITへの置き換えで生まれる4つのパラダイムシフト(1)

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 ITの進化は、これまで「人間のできること」を機械に置き換え、効率化やコストの削減を実現してきた。さらに「人間しかできなかったこと」や「人間にはできないこと」をどんどんできるようにしている。それならば、そんなITや機械の新しい常識を前提に、人間が行うのではなくITや機械がすべてを行うことを前提に、それに最もふさわしい仕事の流れを実現してもいいはずである。

 そして、どうしても「人間にしかできないこと」が残ったときには、それは人間がやるというふうに、発想を逆転して考えてみると、これまでの常識では考えられなかったことが実現するかもしれない。これが「デジタルトランスフォーメーション」の目指しているところである。現実に「デジタルトランスフォーメーション」により、これまでの常識を根本的に変えてしまう事例がいくつも登場している。

 例えば、米ハーレーダビッドソン(Harley-Davidson)は、お客様のわがままなカスタム注文に応えることを売りにするオートバイ専業メーカーです。その注文を受けるペンシルバニア州にあるヨーク工場では、従来は部品手配の都合上、1521日前に注文を締め切らざるを得ませんでした。これをなんと6時間前に短縮してしまったのです。

 また、以前は810日分ほど持っていた部品在庫も、なんと3時間分に圧縮してしまいました。「数日の短縮」といった改善のレベルではなく、「数十分の一の短縮」という大変革を実現したのです。ちなみにこの工場では、すべての製造装置や工作機械に取り付けられたセンサーによって、稼働状態をリアルタイムで把握できる仕組みを取り入れて、この大変革を実現したのです。                            

 他にも、独アディダスの「mi adidas(マイアディダス)」は、シューズやウェアなどさまざまな商品のカスタマイズ注文を受け付け、それを標準品と同じ価格で提供しています。そのカスタマイズの組合せ数は1.4兆種類もあるというのです。また、独ハンブルグ港湾局は、港での荷の積み降ろし、トラック、鉄道、海運などの物流を改革することで、従来の3倍の処理能力を実現しようとしています。                  

 このようにITを活用することで仕事流れを変革し、「何割」ではなく「何倍/何十倍」もの変革を成し遂げようとしています。また、配車サービスのウーバー(Uber)や民泊仲介のエアビーアンドビー(Airbnb)のように、これまで人間が手配を仲介する仕事の流れを、人間を介さずITだけで完結する仕組みに置き換えることで、既存の業界秩序を破壊してしまうほどの変革を生みだしています。「デジタルトランスフォーメーション」とは、こんな常識の大転換なのである。「デジタルトランスフォーメーション」は、「サービス化」「オープン化」「ソーシャル化」「スマート化」4つの変化を生みだしている。