(1)リーダーの戦略
業界トップのシェアを持ち、量的にも質的にも競合企業より優位な経営資源を保有しているリーダー企業の戦略方針は、基本的に全方位で、市場内の競争だけでなく、市場全体の発展にも気を配る必要がある。また、競争に関しては最も魅力的な市場を優先しながら、周辺市場についても対応できる。主な戦略としては、「周辺需要の拡大」「同質化」「非価格競争」が挙げられることは前述の通りである。
(2)チャレンジャーの戦略
チャレンジャー企業がリーダー企業と同じ方針をとると、同質化競争に陥り、競争に敗れる可能性が高くなる。なぜならば、チャレンジャー企業は業界上位に位置するものの、リーダー企業に比べると相対的に経営資源が劣位にあるためである。そこでチャレンジャー企業の戦略は「差別化」が基本となる。基本的差別化の戦略は製品による差別化、価格での差別化、流通経路での差別化、プロモーションでの差別化など様々なものがあるが、ポイントはリーダー企業が、同質化対応ができないような差別化を図ることである。
リーダー企業の保有する経営資源自体が制約となるような差別化を図ることも有効である。例えば、中小流通業者の系列化に成功してリーダー企業の地位に就いた企業に対して、チェーンストアという流通の新興勢力へいち早く対応し、流通面で差別化することが挙げられる。これは「リーダー企業が系列の流通業との関係から、他の流通勢力に対して積極的に取り組めない」という制約をついた事例である。
(3)ニッチャーの戦略
ニッチャー企業は、業界で上位のシェアをとるほどの経営資源の量は保有していないが、特定領域において独自の地位を築けるだけの技もっている。そこで、ニッチャー企業の戦略方針は集中化が基本となる。具体的には、市場を細分化して、独自の技が活かせる市場を発見し、そこに限られた経営資源を集中的に投下することによって、その分野でのミニリーダーになることを目指す。日本の自動車業界におけるスズキや、マーケティンリサーチ業界でインターネット調査に特化して成功したマクロミルなどが挙げられる。ただ、特化した市場が衰退するリスクもあるので、特化する領域は慎重に選定する必要がある。
(4)フォロワーの戦略
フォロワー企業は、量的・質的に競争優位を発揮できるような経営資源を持たないので、企業が存続しうるレベルでの利潤の確保を目指しながら、チャレンジャーまたはニッチャーになれるような経営資源の蓄積に努力することになる。そこでフォロワー企業の戦略方針は摸倣化が基本にとなる。上位企業は上位企業と直接競争するのではなく、そのやり方を利用して効率的に成果を得ることを目指す。具体的には、上位企業が旨みのある市場で成功したやり方を模倣し、相対的に魅力度が見劣りする市場で展開する。これにより研究開発コストが削減できるだけでなく、リスクの少ないやり方を効果的に選定できます。経営資源が少ない分、「他人のふんどしで相撲をとる」というわけである。