事業領域はドメインとも言われ、事業ドメインと表現されることもあるが、どちらも事業の定義域という意味で使われている。その中身を具体的にいうと、事業構成や事業の領域を明確にすることにより、「どのような顧客を対象にして」「どんな特定ニーズに応えようとして」「どのような独自能力」を提供しようとしているのかを明らかにすることであるが、ここで注意しなければならないのが、基本理念と環境分析である(この点については後後段で詳述する)。
なぜドメインの設定が必要かといえば、ドメインの定義を明らかにすることにより、新たな事業展開の道が開けることになるが、その際のポイントとなるのが、上記の「顧客軸」「技術軸」「独自機能」の3つである。そしてドメインを定義するにあたっては、将来の事業の可能性が広がるものにすべきで、広すぎても狭すぎても不都合である。すなわち、狭い範囲では競争に固執してしまうし、広くなると経営資源が分散するリスクがあるからだ。
また、ドメインは事業の手段ではなく、事業の機能で定義しなければ、事業の目的を見失ってしまい、対象とする顧客ニーズに応えることができなくなってしまう。「鉄道事業」や「映画事業」に固執したため、「運輸事業」や「娯楽事業」というビジネスチャンスを見逃してしまったなどというセオドア・レビットの「マーケティング近視眼」がその例としてあげられる。
このようにドメインの設定は、優先順位(メリハリ)をつける「選択と集中」が必要ということになるが、定義的に捉えるといまひとつ理解し難いドメインだが、コンセプトとセットで考えると解りやすい。コンセプトはドメインに基づいて事業を展開するとき、経営目標を達成するための基本的な考え方であり、戦略の展開の仕方を定義したもので、対象顧客のニーズに応えるためにどのような戦略が有効であるかを明らかにするものである。
このようにビジョンを達成するためには、戦略を翻訳したコンセプトが必要となる。このコンセプトがなければ、社員の持てる力を集中して事業の推進を図ることはできない。限られた経営資源を目標達成に向けて集中することにより、ビジョンにフィットした戦略が有効に働くというわけであり、これがドメインとコンセプト関係であるから、競争優位性は何か、それをいかに構築するのかを検討しなければならない。
すなわち、どのような目的を達成するために、この事業が必要なのかを明らかにするのがドメインであり、この定義域に沿って戦略を展開するための方法・手段に指針を示すのがコンセプトである。しかし、実際の戦略策定にあたっては、ポジショニング、リソースと共に繰り返しながら進めることになる。市場展開において苦戦している企業には、企業理念、ビジョン、ドメイン、コンセプト、戦略の間に一貫性に欠けていることが多く見られる。
実際の戦略策定の流れは、まず基本理念やビジョンを踏まえ中長期の広範なドメインを設定して環境(企業が置かれている現状)分析を行い、集中すべき範囲を絞り込み、ドメインを見直すというように、基本理念・ビジョンの策定と環境分析という2つの側面を考慮しながら、より適切なドメインを設定する。なぜなら、ドメインをどう設定するかによって、事業戦略と全体戦略の検討範囲が異なってくるため、戦略策定の前提として、ドメイン設定は重要であるわけである。
私たちが何か行動を起こそうとするとき、まず、「何をするのか」そり目的が明らかでないと、的確な行動がとれない。事業戦略の全体を考える時も同じで、事業の定義(誰に対して何を提供するのか)決まらなければ適切ン戦略を決定できない。そこでまず、提供価値(Value Proposition)または機能(Function)、顧客(Customer)、独自能力・機能(Technology)、競合(Competitor)などを考慮しながら、競争優位の戦略を構築する。
つまり、ポジショニング(市場における自社の位置)とリソース(資源や財務基盤などの優劣)を機塾に検討する。当然ここで考えるべき視点は、戦略のタイプ、バリューチェーン(チェーン上の自社の地位)、ステージ(時間軸)、ブルーオーシャン、ゲーム理論(競合に打ち勝つ環境の読み)、ビジネスモデルの構築)などである。