内部環境の分析-その2 VRIO(ブリオ)分析

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 VRIOフレームワーク(その経営資源のケイパビリティは)

 

経済的価値があるか

希少か

模倣コストは大きいか

組織体制は適切か

競争優位の意味合い

経済的なパフォーマンス

NO

NO

競争劣位

標準を下回る

YeS

NO

 

競争均衡

標準

YeS

YeS

NO

 

一時的競争優位

標準を上回る

YeS

YeS

YeS

YeS

持続的競争優位

標準を上回る

        ジョイB.バーニー著「企業戦略論(ダイヤモンド社)」より

(1)経済的価値に関する問い

 ここでいう経済的価値とは、資産価値などというときの金額的価値を指すものではない。VRIO分析では、その企業が外部環境における機械や脅威に適応することが可能であるかというケイパビリティや経済価値のある経営資源のことである。すなわち、その企業にとって自社の持っている経営資源を戦略的に活用できる価値があるかどうかを分析し、4つのレベルに分類することで、競争優位の意味合いを把握して戦略策定に活用する。

(2)希少性はどうか

 その経営資源を現在コントロールしているのは、ごく少数の競合企業かどうかである。顧客に対するヒアリングの結果、課題を解決する優れた提案力という点で考えた場合、競合他社のレベルを上回っていなければ「Yes」とはいえないことになる。したがって、この時点では、その経営資源やケイバビリティが圧倒的に優れておりリ、かつ長期的にそのリードが保てるかどうかも、この問いに対して答える要素に含まれることになる。

(3)模倣コストが大きいか

 その経営資源やケイバビリティを保有していない企業が、それを獲得あるいは開発するために過大なコストを必要とするなど、不利な条件下に置かれているか? 「模倣困難性」は、①時間的圧縮の不経済:手に入れるために長い年月がかかる。②経路依存性:過去の出来事の順路が経営資源の形成に影響している。③因果関係不明性:どの経営資源の影響なのか不明である。④社会的複雑性:影響している要素が複雑すぎて模倣することが困難である。⑤特許:法律によって守られていいて真似できない。

(4)組織体制は適切か

 ここでは、企業が保有する「価値があり希少で模倣コストの大きい経営資源」を活用するため、組織的な方針や手続きが整っているか? を、問うものである。つまり、企業理念に基づいて掲げられたビジョンを達成するために策定された経営戦略を着実に遂行する協働システムとしての組織が確立されているかということでもある。「組織は戦略に従う」と言われる。組織運用力が優れていれば、多少ハード面での経営資源では劣っていても、持続的な独自能力において強みである。こうした企業は自社にとっては油断のならない企業と言えるだろう。

 VRIO分析では、企業の強みと弱みを分析するフレームであるという点ではSWOT分析とおなじだが、強みと弱みに区分するのではなく、競争優位性という視点で4段階に区分し、経営戦略策定指針をより確かなものにすることを目指している分析手法である。経営環境は劇的に変化することもあるが、短期的には見えにくい変化もある。ある変化にタイムリーに対応し、業界のトップに躍り出るという幸運に恵まれた企業が、その成功体験にいつまでも固執するあまり、現在の市場環境に適さない陳腐化した戦略をとり続けている場合も多く見受けられる。