おわりに

 

 このシリーズでは、昨年私が執筆した「自分自身の働き方改革」という本の概要を中心にお話ししてまいりました。ネットで検索してみますと、「働き方改革」というタイトルの書籍は圧倒的に多く、わざわざ「自分自身の」などという言葉を付け足しているモノはごくわずかのようです。もちろん、私のものと似ているタイトルもあることはあるのですが、概していえば、既存の勤め先において輝くこと、あるいは自分を律することで自分の姿勢を矯正するといった内容のものが多いように感じました。

 読者の中にもそうした内容を期待して、この本を手に取られた人もあったのではないかと推察します。もしそうしたミスリードがあったとすれば大変申し訳なく思いますので、あらためてお詫び申し上げます。しかし、実は、執筆をはじめた当初のタイトルは「自分の働き方改革」でした。しかし、組織にそぐわない自分をひたすら反省し、会社が望む人材になる努力をするという内容について記述しているというミスリードをしてしまうのではないか思い始めたのです。

 そこで、ちょっとくどいタイトルになりました。でも、今は、このタイトルにして正解だったと感じています。といいますのも、社会人としての悩みというものは、どうしても自己否定を強いられがちになるものが多く、自分らしさを閉じ込めることで妥協する以外に解決の方法はないとあきらめざるを得ない場合が多いはずだと、日頃から感じていたからです。もしそうだとすれば、やり場のないマグマが鬱積しているはずです。

 残念ながら、今の社会制度ではこうした悩みは、「わがまま」と判定されてしまい、自分の居場所は永久に見つかりません。もちろん、他人には厳しく自分には甘いという人もいるでしょう。しかし、それを客観的に判定する尺度というものはありませんから、自分がどのポジション(役職のことではありません)にいるのか判断できずにひたすら悩み続けているという構図が目に浮かび、そんな悩める人たちにメッセージ送ろうと考えたわけです。

 暗闇の中に閉じ込められても、トンネルのように一筋の明かり見えれば、希望が持てるものです。また、悩みのない人というものそうはいません。それだけに、自分のやりたいことがはっきりすれば、その方向に向かって歩き出す勇気が芽生えてくる。それが希望であり、場合によっては新たな悩みを呼び込むことにもなるかもしれません。しかし、自分らしさを明確に意識できているときの悩みは、それ以前の堂々巡りを繰り返すとりとめのない悩みとはまったく違うはずです。なぜなら解決の糸口は見えているからです。

 そこまでたどり着くお手伝いは自分にもできると考えたのがこの本を執筆するきっかけでした。読者の皆様には、どうぞ私のそうした意図を汲みとっていただき、悩みの解決にチャレンジしていただきますようお願いします。短い記述ではありますが、みなさまの悩みの解決に必要なエッセンスをコンパクトに記述していますので、一気に読み進んでいただければ、「悩みの正体」を明確に把握できるヒントがきっと見つかると思います。なお、この本に物足りなさを感じられた方は、このブログタイトル「モチベーション」をクリックしてみてください。更なるヒントが見つかるかもしれません。