また、データ分析を行っているのに、経営戦略に活用されていない企業もある。データ分析の手法が次々に開発されているにもかかわらず、有効な意思決定ができないのはなぜなのだろうか。それは、たぶんに分析のための分析になっているため、実際には活用しにくい情報しか取り出せないためではないかと思われる。これは正しく宝の持ち腐れである。
目指すべき戦略をデザインするため、社内に蓄積されているデータを分析しようとすると、かなり加工しないと分析できない場合が多いと感じられるが、それは、「どんな目的」のために「誰」が「どんなアクション」をするかという目的意識が欠落しているため、目的に沿った分析に活用できるようなデータ整理がされていないことにあるように思われる。
多くの中小企業にこうした傾向がみられるのには、それなりの理由があるのかもしれないが、その中でも大きな理由の一つは、財務会計用のデータ整理がなされているからではないかと推察される。もちろん、財務会計や税務会計は必須のものであるから、データが整理されているのは当然のことであるが、データの蓄積がこれに終始していることである。
最近の会計処理ソフトは、様々な分析結果を排出できるようになってはいるものの、自社の製品開発のタイミングや販売促進のポイントなどについて示唆するまでには至っていない。何故ならば、財務会計ないし税務会計は、一会計期間の収支を明かにすることにあるため、経営の意思決定に重点をおいていない、結果の報告が主な目的であるからである。
正規簿記の原則にそった記帳の仕方はでは、資本の調達と運用を軸に展開されるため、経営の意思決定がどのように経営成績に影響し、今後どのような方向に向かうべきかがリアルタイムで捉えにくい。そのため、計画と実績の差異分析は行われているものの、その背後にある問題解決のヒントにまで辿り着くことができない企業も数多く見受けられる。