その他のアイディア発想法

 

 ここで取り上げたアイディア発想法の他にも、たくさんの発想法があるが、今回敢えて割愛したのが、MECEとロジックツリーである。その理由は、この2つについては、これまで折に触れて度々登場したので、そちらを参照願いたいということ、もう一つは、これらの手法は、アイディア発想のために開発された技法ではないように思えたからである。

 しかし、だからといって、アイディアの発想に役立たないとか、無関係であるという意味ではない。なぜならば、何のためにアイディアを必要とするのかと言えば、問題を解決するため、あるいは、「こんなことができたらいいな」という願望をかなえるためであるから、アイディア発想のためのテーマを設定する準備段階では、これらの技法が活用される。

 また、別の角度からみても、人間は確かに不可解なもので、合理性を追求するだけの存在ではないので、閃きや感動といった理性とはやや距離感のある感性に訴えかけることも必要である。しかし、だからと言って、論理的思考が必要ないということではない。むしろ、モノの始まりはロジカルな発想からテーマを見つけ、アイディアの発想に繋げていく。

 すなわち、全てのアイディアは、人間のために求められるものであるので、人間の深層心理を分析して人間を知り尽くすことで、価値あるアイディアが生み出されていくものであるから、その過程では分析力や論理的思考も欠かせないはずである。「入出法」の発散と評価も、一種のアクセルとブレーキの関係にあることを思えば、この関係が理解できる。

 MECEは、問題をフレームで捉え、全体を構成する要素をモレ、ムラ、ダブリを排して、構造を明らかにする思考方法であるのに対して、ロジックツリーは、原因と結果の因果関係を明らかにするため、全体から部分に分解する手法である。しかし、いずれの手法も、最終的な目的は、全体の構造と、それを構成している要素を明らかにすることにある。

 こうした思考は、アイディア発想法の基礎となるものであるが、どうしても論理的なアプローチをしなければならないというイメージが強くとっつきにくい。そこで、そうした堅いイメージを払しょくした、いわゆる突飛なアイディアも歓迎することで、思いつくままに柔軟に発想する手法が開発されたわけであるが、実はいずれの手法も論理的である。