自社の経営状態を俯瞰するため、まず、各種経営比率などを求めて、この数値をもとに相関分析をしてみることにした。相関分析は、各経営指標間の相関の強弱から、設備投資や人材の投入、資金効率などを大づかみにして、経営改善やビジネスモデル開発のヒントを見出すために行うもので、その後に行う分析に先行して行われる分析と位置づけられる。
ここで注目したのは、まず初めに「売上高」と「従業員1人当たり売上高」である。この2つの指標間の相関関係は、当然大きいことが予想されるが、この会社の場合の相関係数は0.604である。次に「従業員1人当たり売上高」と「従業員数」の相関を見ると-0.541となっている。これは従業員の稼働率が売上高に反映されていないことを意味している。
次に、「従業員1人当たり売上高」と「付加価値生産性」の相関係数をみると、0.917となっているので、これは納得できる数値である。しかし、「付加価値生産性」と「営業利益率」の相関係数は0.551とそれ程強くはない。この状態は、せっかく高めた付加価値のうち、営業利益として残る部分が5割強しかない。つまり人件費が過大あることを意味する。
さすがにこの会社の場合は、「売上高対総利益率」と「売上高対営業利益率」との相関はマイナスではなかったものの、以前に分析した会社同様、利益を生み出すメカニズムにかなりのムダやムラがあることが窺われる。すなわち、こうした傾向が顕著に表れる会社の特徴は、売上高を大きくすることで、付加価値生産性を高めるという戦略をとっている。
その結果、従業員数や人件費も増加するため、付加価値生産性はますものの、最終的な営業利益を縮小させてしまう力が働いてしまう。これを防止するために、人件費率や労働分配率を抑えなければならないので、これが従業員のモラール低下に繋がり、サービスの低下→顧客離れ→売上高の低下という悪循環を招き、企業の活力が徐々に低下してくる。
なお、この相関分析では、相関の検定(P検定)を行わなければ、判定はできないので注意が必要である。ここで抽出した相関係数は、いずれも判定に有効なものばかりであるから、現行のビジネスモデルが陳腐化したというよりは、「人員」を「人材」に育てるという基本に立ち返ることがまず必要であることが明確になり、初期の目的はほぼ達せられた。